鏡の向こうの硝子 (フラッシュ版) マロン画伯の力作展示場。 |
鏡の向こう 「硝子は美人だが、面白みのない女だ」 男は白い腹に欲望を撒き散らかすと、ベッドを降りた。 女子大生の硝子は恋人とのセックスで悩んでいた。 彼の愛撫で少しも感じないのは、自分が不感症だからと。 夏休みに帰郷した硝子は、実家の土蔵で古い姿見を見つけた。 子供のころ母が使っていたように思うが、いつのころからか見なくなった。 祖祖母から伝わる姿見だと聞いた記憶がある。 硝子は静かに観音開きの扉を開いた。 古い鏡なのに透き通るような奥深さがある。 吸い込まれるように見詰める硝子は、 TシャツにGパン姿なのに、鏡に映る硝子は全裸だ。 (夢?幻覚?) 硝子は頭を振ってみるが、鏡に映る姿は変わらない。 それどころか、闇から伸びる黒い手でX字に磔られ自由をなくしていく。 『貴女は誰?』 黒い手に苛められて恍惚とする鏡の中の自分に硝子は声をかける。 『私は貴女、貴女は私』 頭の中に声が響いてくる。 姿見の自分を見詰める硝子は、 鏡の中から伸びてきた数本の手に捕らえられてX字に磔られた。 鏡の中の愛撫は荒々しく苛めに近い。 豊満な乳房は荒々しく揉まれ、太い指が食い込んでいる。 下腹の淡い翳りには黒い手が伸び、淫花を開こうとしている。 金縛りにあったように動けない硝子は、初めての悦びを感じ始めていた。 Tシャツの下では乳首が弾けそうに膨らみ、せつない疼痛を訴え、 Gパンの中では、蕾が綻び蜜が溢れそうになっている。 『倒錯の世界が、貴女の棲む世界』 桜色に染まった柔肌は悦びに震え、 黒い手で開かれた淫花は、蜜の雫を垂らす。 美貌を悦楽に蕩けさせる鏡の中の硝子は、 喘ぐように甘ったるい声を洩らした。 『倒錯の世界・・・』 背筋を走り抜ける快感に全身を震わせる硝子は、 古い姿見の前で自分の性に目覚めた。 貴女は考えたことがないですか? 鏡の向こうに広がる世界を。 めくるめく倒錯の世界を。 |