恐怖する淫体術 神 隆光 第4章 眼球責め
千代子は目を閉じて、力を抜いた。なにをされるか分からない恐怖はあったが、ドクターの手の動
きは、すべてを忘れられる快楽を与えてくれる。 麻縄で絞り出された豊満な乳房を優しく軽擦されると、ピンク色の乳首が熟れたぐみの実のように 膨らんでくる。 「身体は正直に反応していますよ。奥さんキスしましょうか」 山崎は快感に喘ぐ熟女の美貌を、ニヤけた顔でみた。 今まで肉体関係をもったどの男の愛撫とも違う、蕩けるような感覚に酔う千代子は、小さく頷いた。 ベッドの横に腰をおとした山崎は、涙で化粧の落ちた端麗な頬を両手ではさむと、ゆっくり顔を近 づけた。 ドクターの息がかかってくると、千代子はドキドキした。キスにときめくような年ではないが、今 までにないものを期待して舞い上がっているのだ。 山崎は軽く唇を重ねただけで、すぐに顔をはなした。 「せんせい……」 薄目を開いた千代子は、悲しげな表情でドクターを見た。肩透かしをくらった欲望は、さらに激し く燃え上がっていく。 「どうしました。私は普通に奥さんを満足させてあげるつもりはありませんよ」 「いじわる……」 千代子は両手で挟まれたままの美貌を、真っ赤に染めた。ちょっとしたいたぶりにも身体が熱くな り、切ない昂ぶりが襲ってくる。 「約束です。奥さんの大きくて美しい目を、いただきましょうか」 山崎の声が昂奮に上擦っている。 「イヤッー」 倒錯した世界に引かれながらも、恐怖にもがく千代子は狭いベッドから落ちそうになった。 「暴れても無駄ですよ。右目か左目か、どっちをくれますか」 山崎は恐怖に引き攣り、青ざめた彫りの深い顔を、しっかり押さえている。 千代子は固く目を閉じて逃げようとするが、緊縛された身体はどうにもならなかった。 「答えないなら、右目をいただきましょう。人間の目玉は美味しいんですよ」 山崎は頬をひと舐めると、目の縁にゆっくり舌を這わせた。しょっぱい涙の味が口腔に広がる。 「ううっ……ううっ……」 声にならない呻き声を上げる千代子は、自由になる足をバタつかせた。 「目を開けなさい」 山崎は瞼の上から眼球を舐めた。薄い瞼を通して舌先に伝わる、目玉のせわしない動きが嗜虐心を 掻き立てる。 「あっ……うっ……」 顔を押さえられ、舌先で瞼を押し上げられる千代子は、目玉をえぐり取られると言う、気が遠くな るような恐怖に襲われた。 発狂するのを回避しようとする脳は、自己防衛反応として大量の脳内麻薬アドレナキンを分泌する。 一時的に薬物中毒状態になった千代子は、恐怖心が消えて快感だけに鋭く反応する身体になっていった。 「しっかり目をあけて」 山崎は力の抜けた瞼の隙間に舌先を割り込ませ、眼球にふれた。緊縛された熟女の裸体が痙攣する。 「……うう……ううっ……」 瞳に生暖かい触覚を感じる千代子は、目玉を失うかも知れない不安と、未知の快感に包まれていっ た。脳下垂体が麻痺して理性の歯止めがなくなった肉体は、底知れぬ倒錯の快楽を求めて暴走を始める。 全身の血が沸き立ち括れた腰を悶えさす千代子は、両目を大きく見開いた。 山崎は舌先で眼球を優しく舐めた。 「くうっ……」 千代子は柔肌を真っ赤に上気させ、身体を突っ張らせた。痛みはない。ザラついた感触があるだけ だが、クリトリスを舐められた以上の快感に激しい浮遊感が襲ってくる。 「ああっ……せんせい、たすけて、身体が……ああっ……」 千代子は歓喜の喘ぎをあげた。水晶体への刺激は瞳孔を広げ、小脳と直結している視神経をつたい、 脳細胞に伝わっていく。恐怖を乗り越えた快楽は、究極のエクスタシーをうみだす。 ベッドに上がった山崎は、誘うように太腿を割る熟女の股間に腰をおとした。パックリと口をあけ た大陰唇は、溢れ出る愛液で濡れて光り、充血して脹らんだクリトリスは皮が剥け、ピンクの肉芽を のぞかせている。 「入れますよ」 山崎はサーモンピンクの肉襞が、物欲しそうに蠢いている膣に一物をあてがうと突き上げていった。 亀頭が入口をとらえ、侵入を始める。 「ああっ……いいっ……」 大きな目を見開いたままの千代子は、焼け爛れた肉襞を巨根でこすられると、緊縛された裸体をの け反らせるように悶えた。 「右目をえぐり取りますよ」 肉根を根元までしっかりと打ち込んだ山崎は、再び目玉を舐め、舌先で軽くつついた。 「ああっ……いやん。だめになる。千代子、だめになっちゃう……」 ドクターの身体の下で、汗で光る妖艶な女体をのたうたせ千代子は、渦巻く快感の嵐に飲み込まれ ていった。 「クウッ……すごい締め付けだ」 「ああっ……イク、千代子、千代子いっちゃう……」 子宮を奥深く突き上げられた千代子は歓喜の叫びをあげた。 恐怖の中でのオルガスムスは、永遠に続くかのように熟女は何度も何度ものけ反った。 「……死んじゃう……」 ドクターの熱い迸りを受けた千代子は絶叫した。 瞳孔が開き切った瞳には蛍光灯の光さえまぶしく、千代子の意識は真っ白に輝く世界に飛んでいった。 |